演劇ユニット『SP@CE』

奈良で活動する演劇ユニット『SP@CE』の劇団員ブログ用ページです。 現在、劇団員(役者、裏方)募集中です!

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「ナツマチ」 another story『meaning of my name』。

case of sora tachibana

『meaning of my name』


*************


雲。

太陽。

鳥。

電線。

洗濯物。

鳥。

紙飛行機…ん?

鳥…2回言ったか?

まぁいいや。鳥可愛いしな。雀とか、燕とかは勿論、鷹や鷲だってよく見ると可愛いんだからな、侮りがたしだ、鳥。

犬や猫やアライグマに比べるとちょっと劣るが、それでもまぁ悪くない。…ペンギンに至っては、限りなくアライグマクラスと言ってしまって差し障りない。

個人的な…飽くまで個人的な好みで言わせてもらえるなら、ダチョウはかなり可愛いと思う。速いし。

そもそもダチョウは……はっ!

しまった。真面目に考え事をしていた筈なのに、気付けば鳥のことばかりを考えていた。

そう。真面目に真面目に。

雲。

太陽。

鳥。

電線。

洗濯物。

紙飛行機。

アヤ。

…アヤ?

「何やってんの、ソラ?」

アヤだ。空にあるものを考えてたらアヤが出てきたぞ。

「アヤは…飛べるのか?」

「はい?」

あ、違った。寝っ転がってるところを、アヤが覗きこんできただけだ。アヤは飛ばない。

「ごめんな。勘違いだった。アヤは飛ばないものな」

「ん?う、うん。そうだね」

起き上がって、アヤの隣に並ぶ。うん、やっぱり飛んでない。

「で?何やってたの?」

「空を見ていた」

「ソラを?…ああ、空か」

二人して空を見上げる。電線や洗濯物はさっきより近くなった。紙飛行機はもう見えないけど、さっきまでは飛んでたんだ。太陽とか、雲とか、鳥とかと同じように…空に。

「何か考え事?」

またじっと空を見上げていると、アヤがそう尋ねてきた。

「うん、考え事…名前のこと」

「名前?」

「そう。名前。名前の由来」

そうなんだ。空を見上げて考えてた…名前の由来。立花ソラ。ソラ…ソラ…空。

「由来…か。なるほど、あんまり考えたことなかったな」

「そうなのか?じゃあ、アヤは自分の名前の由来、知らないのか?」

「ん~…知らないけど、多分、花の名前から取ったんじゃないかな?アヤメだから、菖蒲」

「そっか」

アヤはアヤメだから、菖蒲か。そう言えば、アザミも薊だもんな。周防家は花の名前を付けるのか。

「アヤメな…殺めるから取ったわけじゃないのか…」

「そんな親いないでしょ。子供に何て名前付けてんだよ。辛うじて忍くらいだよ、子供にそんな名前付けるの」

いや、忍も多分付けない。

「冗談だって。怒るなよ、アヤ」

「怒ってはないけど」

「でも、そっか。花の名前な。菖蒲ってどんなだっけ?」

「…綺麗な花だよ。アイリスって呼ばれたりもする。花言葉は、吉報や、希望、情熱…あんまり似合わないかな」

アヤはそう言うと、ははっと笑って、眉をハの字にした。アヤがこういう顔をする時は自分を卑下してる時だ。

「そんなことない。アヤにぴったりだ」

だから、はっきりと言ってやる。アヤはこれくらいはっきり言ってやらないとダメなんだ。すぐに自分のことをバカにする悪い癖がある。

「ソラ…ありがと。…ソラの名前の由来…何なんだろうね?ソウ先生には聞いてみた?」

「ううん。ソウ兄ちゃん知ってるかな?」

「知ってるんじゃない?案外、ソウ先生が付けた名前だったりして」

「そうかな?それじゃあ、今から聞きに行ってくる。ありがとな、アヤ」

「どういたしまして」背中にアヤの声を聞きながら、診察室に向かった。

ガチャ。

診察室のドアを開ける。しかし、残念ながらそこにソウ兄ちゃんの姿はなかった。

あれ?まだ寝てるのかな?部屋に行ってみようかな?と、診察室から出ようとしたところでリュウと鉢合わせた。

「おう、ソラ。どうした?何か急いでるみたいだけど」

急いでるように見える人間に呑気に話しかける辺りがリュウらしい。リュウイズムと言っていいだろう。

「………」

「ん?どうした?俺の顔が何か突いてるか?」

それを言うなら、「俺の顔に何か付いてるか?」だろ。ボケなのか、単なる覚え間違いなのか、微妙なところだ。何せリュウだしな。

う~ん…どうしよう?リュウにも聞いてみようかな?名前の由来。…ついでだし聞いてみるか。

「なぁリュウ。リュウはリュウタだろ?自分の名前の由来とか知ってるか?」

「由来?」

「何だ、由来も知らないのか?由来っていうのはな――」

「いやいや、それくらい知ってっから」

何だ知ってたのか。リュウなら知らない可能性もあるかも、と思ったけど、どうやらそれくらいの知識はあるらしい。

「由来な~。何だろ?多分、じいちゃん先生だよな、俺の名前付けたの。全然気にしたことなかったわ」

「はぁ…これだからリュウは」

「な、何だよ。それじゃあ、お前は知ってんのか?ソラって名前の由来」

「それが分からないから、ソウ兄ちゃんを探してたんだろ」

そうだ。こんなところでリュウなんかに拘ってる場合じゃない。ソウ兄ちゃんを探さなきゃ。

「しっかし、名前の由来か~。俺の場合、リュウタだろ?リュウタ…リュウタ…やっぱり、リュウってことは、竜かな?ドラゴンのように猛々しく育って欲しい、みたいな?」

リュウは調子に乗って、「がぉーっ」みたいなことを言っている。…リュウがドラゴン?…はぁ。それはないな。

「な、何だよ?何で、そんな可哀想な子を見る目で俺のこと見てんだ?」

もし本当にリュウの名前の由来が、ドラゴンの竜なんだとしたら…じいちゃん先生が不憫すぎる。名前負けも甚だしいな。

「…じいちゃん先生に…宜しく伝えて下さい」

ペコッと、会釈とお辞儀の中間くらいの感じで頭を下げる。後方からは何かを訴えかけるような声が聞こえてくるが、気にせずソウ兄ちゃんの部屋へ向かった。

コンコン。

「はぁい」

ドアをノックすると間延びした声が返ってきた。起きてはいるが、まだ眠いのかもしれない。ドアを開けて中に入ると…あれ?ソウ兄ちゃんはお仕事中だった。

「ソウ兄ちゃん、お仕事中か?」

「ん~…あぁ、まぁ、ちょっとな」

いつものよく分からん紙に、よく分からん文字を書いている。たまに、でたらめに書いてるんじゃないかと、思わないでもない。

「今、お話しても大丈夫か?」

「ん?あぁ、大丈夫だ。そんなに急ぎの仕事でもないからな」

そう言うとペンを置き「どうした?」とこっちに向き直ってくれた。

「名前の由来が気になって」

「名前の由来?ソラのか?」

ぶんぶんと首を縦に振ると、「名前の由来な~」と言って、少し考え込んでしまった。この感じからすると、ソウ兄ちゃんが付けたわけじゃなさそうだ。ちょっと残念。

「…ああ、そうだ。思い出した」

「本当か?」

「うん。確か、ソラとユキは母さんが付けたんだよ。ほら、母さんは天体観測が趣味だったろ?だから、空とか、大気とか、宇宙とか、そういう関係の名前が付けたかったんだって聞いたことがある」

「そうなのか…」

「で、ユキは確か、生まれた時に驚くほど肌の色が白かったから、ユキって名前だったんじゃないかな?」

なるほど。確かにユキ姉ちゃんは、ユキっぽさがかなりある。

「ソラは~…そうそう」

と、ソウ兄ちゃんはちょっと笑った。…ん?何で笑う?

「お前には色んな名前の候補があったんだよ。最初は確か…アメだった」

「雨?」

「そう。ユキに対してのアメ。でもな、『お前の名前はアメだ』って親父が抱っこした瞬間、お前が凄まじい勢いで泣き出したんだってさ」

…うん。何か分かる気がする。アメ…悪い名前じゃないけど…何か違う気がする。

「その他にも、太陽からサン、風からフウ、星からヒカリ…色んな名前を付けようとしたらしいんだけど、その度にお前が大泣きするもんだから、相当困ったらしいぞ」

うん、ヒカリとフウはまだしも、太陽からサンはちょっとどうかと思うな。いっそ、雷からライとか。…何だ、ちょっとカッコいいじゃないか。

「女の子につける名前じゃないな」

「心を読まれた気がする!」

「まぁそんな中で付いた名前がソラだったわけだ」

「ソラの時は泣かなかったのか?」

「らしいぞ。色々迷って、最後の候補だった、ソラって名前で呼んだら、お前は嬉しそうに笑ったんだってさ」

ソウ兄ちゃんが遠い目をして言う。

「まるで空で輝くお日様みたいな笑顔だった。母さんも親父も…ユキも俺も。そんなお前の笑顔が大好きなんだよ」

そう言って優しく笑うと、頭をぽんぽんとしてくれた。

そうか…それで『ソラ』なんだ。

「ソウ兄ちゃんは?」

「ん?」

「ソウ兄ちゃんの名前の由来」

ソウ兄ちゃんは、一瞬驚いた顔をして、少し悲しい顔をした。…聞いちゃいけなかったのかな?「やっぱりいいや」そう言う前にソウ兄ちゃんが口を開いた。

「俺は…名前負けだよ、完全に。本当は…『ソウスケ』なんて名前…俺には名乗る資格なんてないんだ」

資格がない?名前負け?一体…

「俺の名前の由来はな――」


**


デネブ。

アルタイル。

ベガ。

三つの星を線で繋いで出来た大きな三角形…夏の大三角。

夏にしか見れない不思議三角。

今、一人で見上げている。

夏に『雪』は降らない。

『総』てのことから『助』けてくれる人はもういない。

ただ…『空』があるだけ。

………。

でも、顔を上げなきゃ。前を向かなきゃ。笑っていなきゃ。

その笑顔を愛してくれた人達の為にも。

そう言い聞かせ、一歩…前へと足を踏み出した。

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「ナツマチ」 another story『my dear』。

case of yuki tachibana

『my dear』


*************


「アヤ、そこのお醤油取って。リュウ、それは砂糖じゃなくてお塩よ」

…う~ん。

「アヤ、ゾウとキリンどっちが好き?リュウ、それはタヌキじゃなくてオオカミよ」

……う~~ん。

「アヤ、今日の晩御飯なに食べたい?リュウ、それはお箸じゃなくてお橋よ」

………。

ダメですね。やっぱり全然しっくりこないです。言葉を崩して喋るのがこんなに落ち着かないものだなんて…。

ソラや兄さんが相手なら平気なのに…何ででしょう?

アヤやリュウにさえ言葉を崩せないのに、他の人になんて…そんなの一生出来る気がしません。

「はぁ…」

思わずため息が出ます。

自分の不器用さにもですが、可愛いげのなさに…。

ソラのように屈託なく、ソラのように無邪気に、ソラのように素直に…周りと接することが出来たら…甘えることが出来たら…そう思わずにはいられません。

あ、ソラというのは私の妹のことです。可愛い妹です。

目の中に入れても痛くない、可愛い可愛い妹です。

兄さんには勿論、私にもとても懐いてくれています。

私もあんな風に…。

可愛い妹にコンプレックスを感じているなんで、我ながら情けない限りです。

兄さんにこんな相談をしても「お前はお前のままでいい。俺はソラもユキも同じくらい大切に思ってる」とか言うんでしょうね。

兄さんは多分、本当に私とソラを区別したりはしていないと思いますから。

妹の私が言うのも何ですが…兄さんにはちょっとシスコンの気がありまして…。本当に私のこともソラと同じように可愛がってくれていると思うんです。

だからこそ、申し訳なくて…。

なんて考えてると、いつまで経っても終わらない。いつまで経っても堂々巡り。

そもそもこんなことを考えているのが良くないんですよね。…分かってはいるんです。でもどうにもならない。心配性は兄さん譲り。今更どうにもなりません。

「はぁ…」

もう一度、少し深めのため息をつくと、目の前から何やら楽しげな女の子が歩いてきます。ソラです。

頭を左右に揺らしながら、何かをぶつぶつと呟いてるようです。何でしょう?

「ソラ、どうしたの?」

「でねばるたいるべら」

…ん?

「ソ、ソラ?」

「でねばゆたいゆべやー」

…な、何でしょう?最愛の妹の口から謎の言葉が…。

「でればすたいむれあー」

こ、怖い。妹の口から妙な呪文が吐き出される様というのは、非現実的な恐怖を感じます。

「ですばすたおるふぇあー」

以前、兄さんに無理矢理見させられた古いホラー映画を思い出します。ソラが「REDRUM」とか言い出したら…あれ?何か最初と言葉が変わってるような…。

「ではあるばいとさまー」

あ、違う。全然違う言葉に変わってますね。

「ソ、ソラ?何?何の呪文なの?」

「でぃーどりっひばすがすばくはつぷれじでん…あれ?ユキ姉ちゃん?どうしたんだ?」

「ごめんね、ソラ。それは100%お姉ちゃんの台詞なの」

あと、途中はどうだか分からないけど、最後のは絶対にわざと間違えてるよね?お姉ちゃん騙されないから。

「でればるたいるべらん、なんだ」

ん?ちょっと最初のっぽくなった気がしますね。もうよく分かりませんけど。じゃあやっぱり途中のもわざと?この子がどこまで本気なのか、姉である私でも把握しきれないです。誰に似たんでしょう…。

「その…で、で、でれ?でね?何とかって言うのは何?」

「ダメだな、ユキ姉ちゃん。でげばるたいずべら、だって」

うん、違う。この子もちゃんと言えてないし、多分、最初の言葉をもう覚えてない。

「その、何とかって言うのは何?呪文なの?新しい遊び?」

「違う違う。これは…あの~…あれだ。その~…」

まさか、自分が何について呟いていたのかも忘れてしまった…のでしょうか?本格的に心配になってきました。

「えっと~…な、な、な~…何ちゃって大錯覚?」

ん?何?もう全然意味が分かりません。

「あ、違う。あれだ、夏の――」

「夏の?」

「…なーーーーっ!!」

突然奇声を発してソラが私から猛烈に距離を取ります。…何でしょう?これくらいの行動なら、とてもソラらしくて今更驚きもしませんが。

「あ、危ない…危うくアレするとこだった。…巧みだな。ユキ姉ちゃんは巧み過ぎるな」

ソラが口の端を上げて、にやりと笑いながら「お前もなかなかやるじゃないか」みたいな顔をしています。

「アレか?誘導尋問なのか?」

「ううん、違う。こういうのを誘導尋問とは言わないのよ」

「そっか」

物分かりが良いのがこの子の長所です。

「詳しくはご説明できないのだが…とにかく、でねばるた…た…何だっけな?またソウ兄ちゃんにちゃんと聞いとかなきゃ」

ソウ兄ちゃん?今、確かにソウ兄ちゃんって言いましたよね?つまり、このソラの奇行の原因は兄さんにあると。

「まぁつまり、そういうアレなんだ」

何がつまりなのかも、そういうアレなのかも、全く分からないのですが…。

「つまり、兄さんに何か聞いたっていうこと?その~…何とかっていうのを」

「………」

「ソラ?」

「忍の一字は衆妙の門だ」

「え?」

「ユキ姉ちゃん…忍の一字は衆妙の門…忍の一字は衆妙の門なんだー!!」

そんなことを叫びながら、ソラは何処かへ走って行ってしまいました。…そして、取り残される私。

何だったんでしょう?『忍の一字は衆妙の門』?つまり、何かを我慢することが大事ということ?知ろうとせず我慢しろ、と?

…しかし、あの子はたまに妙な言葉を知ってますね。

まぁ、発信源が分かっているので、これ以上ソラに聞く必要もないですが。

「やれやれ」

そう一人言ちると、診察室の扉を開け、中に入り、もう一人の親愛なる人に声をかけます。

「兄さん。またソラに変なこと教えた?」


プロフィール

SP@CE

Author:SP@CE
演劇ユニット『SP@CE』

奈良で活動する演劇ユニット。
2012年6月、始動。


2014年5月 第1回公演「CONNECT」無事、終了致しました。
ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。


2014年5月現在、次回公演に向けて、役者・裏方募集中です!
詳しくは、下記カテゴリ『募集要項』をご覧ください!

お問い合わせ
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